船上作業中に右手を挟まれた労災事故で約1700万円を獲得した事例(交渉から解決まで約2年)
- 事案内容
- 海上作業船で作業中にバランスを崩した依頼者様(20代、男性)が作業船の端と生け簀との間に右手を挟まれて解放骨折の重傷を負い、後遺障害等級10級の認定を受けた事案。
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- 交渉・訴訟の経過
- まず、会社に対して損害賠償請求の内容証明郵便を送付しました。
これに対し、会社は労災事故発生の責任を否定しつつ、示談金として約300万円を提案してきました。
依頼者様としては最低でも1000万円を希望されており、金額に大きな差があったので、交渉では解決しないと考えて、速やかに訴訟に移りました。
訴訟では、会社側はバランスを崩したのは労働者の責任であり、会社には非がないと主張してきました。
これに対し、こちら側は作業手順を洗い出し、バランスを崩しても挟まれる危険がないような作業手順が可能であったことから、危険な作業手順に基づいて作業を行わせた会社側に責任があることを主張しました。
1年以上裁判を行った結果、裁判所から会社が約1700万円の賠償金を支払うべきとする内容の和解案が提示され、ようやく会社も観念して、和解に至りました。
- 弁護士からのコメント
- 海上作業船の上で行った労災事故という意味で特殊な事故でした。
また、裁判の争点は、労働安全衛生法違反などの分かりやすい法令違反ではなく、作業手順の危険性という抽象的なものであったため、裁判では主張の組み立てが非常に難航した事件でした。
もっとも、依頼者様においては、当初希望していた金額以上のものを獲得できたので非常に満足していましたし、当事務所としても、なんとか勝訴的和解を勝ち取ることができてホッとした事件でした。
冷凍倉庫での転倒事故で約2000万円を獲得した事例(交渉から解決まで5カ月)
- 事案内容
- 解体工事現場で作業員として従事していた依頼者(30代、男性)が鉄板で手を挟み、左手手指切断等の負傷を負い、後遺障害等級9級9号の認定を受けた事案。
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- 交渉の経過
- 事故時、依頼者様は孫請会社で勤務していた従業員であったため、損害賠償請求を求める内容証明は下請会社と元請会社の2社に対して送付しました。
そうすると、下請会社は賠償責任を認めてきましたが、元受会社は賠償責任を否定してきました。
そこで、責任を認めた下請会社に集中して交渉を行いました。
その結果、交渉開始から約5か月で下請会社との間で2000万円の示談を成立させました。
- 弁護士からのコメント
- 労災事故では元請、下請、孫請などの多数の会社が絡んで事故が発生することが多いです。けれども、当然に全ての会社に責任が認められるものではなく、責任の有無はあくまで会社ごとに判断され、ケース・バイ・ケースです。
この事件では、当初は元請と下請の2社に請求しつつ、最終的には下請会社のみと示談しております。
元請会社を入れずに下請会社のみと示談を行ったのは、元請会社との間では賠償責任を認めさせることが困難であったことと、下請会社から支払いを受けた賠償額分は元請会社にも請求できなくなる関係にあるため、実質的には元請会社と交渉する必要性がなくなったためです。
ただし、請求の際に元請会社を入れることで、示談を望む元請会社との関係で下請会社が示談に向けて誠実な対応を行うことも多く、この事件でも多少の影響があったものと思われます。
プレス機に左手指示指を挟まれた労災事故で680万円を獲得した事例(交渉から解決まで1年6カ月)
- 事案内容
- プレス工として働いていた依頼者様(30代、女性)が、プレス作業中に左手を挟まれて、左手人差し指を切断する重傷を負い、後遺障害等級12級の認定を受けた事案。
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- 交渉の経過
- 依頼者様が労災事故に遭った直後に会社は閉鎖しており、事実上の倒産状態となっていました。
そのため、依頼者様としては損害賠償請求をしたいが、会社にはお金がないので諦めるしかないのかと悩まれていました。
当事務所として、プレス作業中の事故は会社がプレス機に安全装置を設置していなかったことに起因する事故なので会社に責任があり、安全装置を取り付けなかった会社の代表取締役にも責任があるので、会社に財産がなくても、代表取締役個人に対して賠償請求が可能であると助言しました。
ご依頼を受けた後の損害賠償請求では、休眠中の会社と当時の代表取締役個人に対して請求を行い、最終的には訴訟にまで発展しました。
そして、訴訟の結果、裁判所に会社と代表取締役個人の双方に賠償責任(連帯債務)を認めてもらい、賠償金680万円による和解が成立しました。
なお、和解後は無事に賠償金の支払いを受けることもできました。
- 弁護士からのコメント
- 安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求は会社だけでなく代表取締役個人にも請求できる場合があります。特に小規模な会社である場合には、代表取締役個人に直接の責任があるともいえます。
そして、会社財産に不安がある場合には、会社とともに代表取締役個人にも請求を行うことが効果的な場合があります。
今回のケースは、請求時に代表取締役個人を含めることで、会社を倒産させて逃げることを防ぎましたので非常に意義があったと思います。
また、依頼者様においても、きっちりと賠償金を回収できたことに満足されている様子でした。
過重労働が原因で脳出血を発症した労災事故で2000万円を獲得した事例(交渉開始から解決まで1年間、受任から解決まで3年間)
- 事案内容
- 運送会社のトラック運転手として勤務する依頼者様(40代、男性)が、過重労働が原因で脳出血を発症し、左上肢・左下肢に中等度の麻痺が残り、後遺障害等級5級と認定された事案。
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- 交渉の経過
- 脳出血発症直後に依頼者様の配偶者から連絡を受け、入院中の病院に出張して、ご事情を聞き、そのまま依頼を受けました。
もっとも、この時点では、脳出血は労働災害と認定はされておりませんでしたので、当事務所で労災申請から始めました。
労災申請時は、本人から聴取した労働内容を書面にまとめたうえで、会社から取得した資料などを整理し、各労働日の労働時間を分単位で計算して、会社での勤務が長時間労働であったことや不規則な勤務であったことなどを主張しました。
その結果、労働時間については過重労働の労災認定基準以下ではありましたが、不規則勤務や連続勤務、精神的緊張の伴う勤務などの項目の総合的な考慮により、業務上災害と認められました。
その後は、会社と代表取締役の2名に対して損害賠償請求を行い、依頼者様側の素因、障害年金などの損益相殺、会社と代表取締役の資力などを考慮して、適切な示談金として計算した2000万円で示談がまとまりました。
- 弁護士からのコメント
- 今回のケースでは、労災事故発生直後からの対応となりましたが、当事務所では労災隠しなどにも対応しており、労災発生直後から対応することは珍しくありません。
特に過重労働の労災の場合、損害賠償請求の前に労災認定を勝ち取ることが極めて重要であり、そのためには労災直後からの弁護士対応が必要不可欠です。
個人的には、脳出血が起こった直後のご不安な状況でご依頼いただいた依頼者様のご期待に応えることができて、ほっとした事件でもありました。
スレート屋根の修理中に墜落した事故で約1700万円を獲得した事例(ご依頼から解決まで約3年間)
- 事案内容
- 依頼者様(20代、男性)はスレート屋根の踏み抜きにより墜落し、骨盤骨折、右肩骨折等の重傷を負い、後遺障害12級の認定を受けた事案。
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- 交渉の経過
- 依頼者様は、労災事故の治療が終わった後は会社を退職することを希望しておりましたので、まず、代理人弁護士から会社に対して、労災休業中の年次有給休暇使用と退職の意思表示を行いました。
あまり知られてはおりませんが、労災休業中であったとしても年次有給休暇取得の基礎日数に数えられるため、労災の休業を終えて退職する場合には、休業期間中に取得した年次有給休暇を請求することができます。
この年次有給休暇に対し、会社は休業期間中の社会保険料の労働者負担分の支払いを求めて、訴訟を提起してきました。会社としては、退職と同時に年次有給休暇を申請されたことに対する報復だったのでしょう。
そこで、こちら側は会社からの社会保険料請求に対し、労災事故の損害賠償請求を求める反対訴訟を提起しました。また、訴訟と同時進行で後遺障害等級が12級と認定されたことに対し、不服申し立て(審査請求)を行いました。
約2年間に亘る訴訟の結果、審査請求では、こちら側の請求が認められ後遺障害等級が11級に繰り上がり、約200万円の労災保険の追加支給を受けました。
また、訴訟でも、後遺障害等級11級を前提に、こちら側の訴えがほぼ認められる形で約1700万円の和解が成立しました。
なお、会社からの社会保険料は損害賠償請求との相殺で0円となりました。
- 弁護士からのコメント
- 訴訟だけで約2年、ご依頼いただいてからは約3年という長い期間を要しましたが、審査請求、訴訟、相殺とこちら側の請求は全てが認められましたので、完全勝訴といっても過言でない裁判であったと思います。