フォークリフトのフォークに吊るしていたコイル材が左足に落下した事故で450万円を獲得した事例(交渉から解決まで約5ヵ月)
- 事案内容
- 依頼者(50代、男性)は、コイル材にワイヤーを通す作業をしていましたが、作業員がフォークリフトのフォークにコイル材のワイヤーを引っ掛け、吊るし上げた上で、コイル材を移動させる際に、不注意でコイル材を落下させ、依頼者に衝突させた結果、依頼者は、左膝脛骨解放骨折等の傷害を負い、左足関節の運動制限について、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に傷害を残すもの」として、12級7号の後遺障害等級が認定された事案
詳しく見る
- 交渉の経過
- 依頼者は、事故後傷みや可動域制限によって不自由な生活を余儀なくされ、勤務先を退職することになったものの、転職先も満足に見つからない状態になりました。そして、負傷に悩み精神的に不安定な日もありました。そのため、依頼者の妻が、何とか勤務先に責任を認めさせ正当な補償を求めたいと考え、当事務所にご相談いただきました。
そして、依頼者と依頼者の妻とで協議された結果、当事務所に損害賠償請求を依頼いただくことになりました。
労働局から労災に関係する資料を収集した上で、損害賠償請求を行ったところ、勤務先は弁護士を代理人に立てました。その上で、実際の事故態様とは異なる状況を主張するだけでなく、当時安全性に乏しかったフォークリフトに備品を追加し再現動画を提出してきました。また、事故の原因は依頼者が不用意にフォークリフトに近づいてきたことであるとも主張してきました。そして、賠償責任を完全に否定してきました。
これに対して、フォークリフトを使用して物を吊り上げることは労働安全衛生法に違反するものであること、再現動画は当日の状況を正確に表していないこと、依頼者が不用意にフォークリフトに近づくことは客観的状況からあり得ない旨を主張しました。
その結果、勤務先は主張を維持することは困難であると考えたのか、示談を希望するようになりました。
そして、度重なる交渉の結果、450万円の支払いを受けることで示談を成立させることができました。
- 弁護士からのコメント
- 必ずしも事故状況の証拠が残っていることが多いわけではありません。しかし、監督復命書に事故調査の結果が記載されていることもあります。また、事故時の状況を客観的に分析すれば、事故態様に対する不合理な主張を排斥することもできます。直接的な証拠がない場合でも、その他の資料や状況から事故態様を主張・立証することが重要になります。
トラック荷台から荷崩れした荷物が額や腰等に激突した事故で約1100万円を獲得した事例(交渉から解決まで約3ヵ月)
- 事案内容
- 依頼者(40代、女性)は、トラック配送の荷卸し作業の仕事をしていましたが、荷台にいる作業員がテールゲートリフターにロールボックスパレットの載せる際に、ストッパーをしていなかったことから、荷物が依頼者に向けて落下し、依頼者が右前額部挫創、第3腰椎破裂骨折などの傷害を負ったことが原因で、後遺障害等級併合10級の認定を受けた事案
詳しく見る
- 交渉の経過
- 依頼者は、定年まで勤務先にして働く予定であったため、損害賠償請求を躊躇されていましたが、加害者である作業員からは一切の謝罪がなく、勤務先も依頼者を配慮することなく不誠実な対応であったことから、退職を決意し、損害賠償請求を依頼いただくことになりました。
また、担当の医師が協力的ではない状況でしたので、当事務所の後遺障害サポートも併せて依頼いただき、労働基準監督署に後遺障害の申請をする際に、弁護士の意見書を提出しました。その結果、「外貌に醜状を残すもの」として、12級14号の後遺障害等級が認定されたことに加え、脊椎に変形が残存していることから、「せき柱に変形を残すもの」として、第11級5号の後遺障害等級も認定されたことから、併合10級の後遺障害等級となりました。そして、後遺障害等級認定後、すぐに加害者と勤務先に対して賠償請求を行いました。
すると、勤務先は、弁護士を代理人として、事故後事務作業への配置転換を提案したにもかかわらず依頼者が応じなかったことから、休業損害は逸失利益を支払う意向はない、依頼者にも過失が50%ある等と主張してきました。
そこで、依頼者は事務職の経験がないことに加え、腰部に傷み等が発生していることから座り仕事である事務作業は客観的に不可能であることや、事故態様や当時の状況からして過失が50%もあることはあり得ないと反論しました。
勤務先の代理人弁護士は、当方の主張に反論してきましたが、当方が強気の交渉をしたこともあり、当方の損害計算結果を全面的に採用しつつ、過失を20%とすることで示談を成立させることができました。
- 弁護士からのコメント
- 今回の事案は逸失利益の算定等当方にとって不利に判断される可能性がある事案でしたので、裁判になった場合には、示談額より低額であったと予想されます。訴訟になった際の見通しを持ちつつ、示談交渉を行うことにより、裁判になった場合よりも高額の賠償金を獲得できた事案でした。
作業中に落下してきた工具が当たり骨折した事故で、労災隠しにあったものの、裁判で520万円を獲得した事例(交渉から訴訟による解決まで約3年間)
- 事案内容
- 被災者は30代の男性で、電動ドリルによる掘削作業の補助を行っていたところ、電動ドリルの刃が引っかかり上段で作業をしていた作業員が誤って電動ドリルを落としてしまい、被災者の手にあたって、右手指を骨折しました。
詳しく見る
- 交渉の経過
- 依頼者は、下請け会社の社員として現場に入っており、その際に発生した事故でした。会社は、元請との関係で迷惑をかけてしまうことを嫌ってか、自社の現場で怪我をしたことにして、そのように労基署へも報告をすると説明すると依頼者に説明しました。
依頼者は、そのような会社の対応に不安や不信感を感じ、当事務所に相談されました。
受任後、直ちに弁護士から内容証明郵便を送付し、事実と異なる報告をしないよう通知をしました。これにより、会社は、実際の現場で起こった事故として報告をしました。もっとも、細かな事故態様について、相違がありました。
労災手続についてサポートをしながら、後遺障害の認定を受けました。
症状固定後、会社に対して損害賠償請求をしました。これに対し、会社は責任を否定する趣旨の回答をしたことから、交渉での解決は困難と判断し、訴訟提起に至りました。
訴訟でも、会社側は事故に状況や責任を争ってきました。また、後遺障害についても病院での治療が適切でなかったことを理由に事故との関係を争ってきました。
これに対し、こちらは事故時の作業内容や位置関係等、事故の状況を詳細に説明し、作業員の責任や会社の責任が認められることを粘り強く主張しました。また、会社側が後遺障害を争っている点についても、カルテから把握できる治療経過や検査記録をもとに主張を展開しました。訴訟では、最終的にこちらの主張の大部分を前提にした内容での和解案が裁判所から提示され、依頼者にも満足いただける内容で和解することができました。
- 弁護士からのコメント
- この事件は、いわゆる労災隠しの事案であり、事故直後から弁護士が対応する必要がありました。事故態様に相違があり、会社が責任を争ってきた事案でしたので、最初の段階で労災隠しを防げたことは、後の訴訟での立証活動の点でも大きな意義がありました。
訴訟は、事故態様・責任に加え、後遺障害に関する損害についても争いとなりましたが、強気に主張したことも功を奏し、高水準での和解ができたと思います。
窓ふき作業中に転落した事故で約1000万円を獲得した事例(ご依頼から解決まで約2年間)
- 事案内容
- 被災者(50代、男性)は3階部分の窓ふき作業中に、誤って同僚が接触してきたためにバランスを崩して転落し、地面で胸部等を強打し、死亡しました。
詳しく見る
- 交渉の経過
- 被災者のご遺族から依頼を受け、まずは、労災の事故原因の調査を行いました。
そうすると、死亡労災事故として警察が捜査をしていることが分かったので、警察の捜査が終わるのを待って、捜査記録の取り付けを行いました。
その結果、労災事故の全容が判明したので、被災者遺族の代理人として、同僚に対しては過失で接触して被災者を転落させてしまったことの不法行為責任を、会社に対しては従業員の不法行為を基に会社の使用者としての責任を追及しました。
会社は、責任を認める趣旨を述べていましたが、財力が無いので支払えないと回答してきました。
会社に十分な財力が無いことは事実でしたので、下手に訴訟を提起するのではなく、相手代理人と粘り強く交渉を行ったところ、最終的に会社は金融機関から借入をして、慰謝料1000万円を支払うとの提案を行いました。
被災者遺族には、会社から提案された慰謝料1000万円とは別に会社加入の労災上乗せ保険の保険金1000万円が支払われており、一方で、被災者にも墜落防止措置を行わずに高所作業を行った過失が存在したため、慰謝料1000万円で示談を行うことには少なからずメリットがありました。
そこで、遺族に裁判上認められるであろう損害賠償額等を説明し、十分に納得いただいたうえで、無事に示談を行うことが出来ました。
- 弁護士からのコメント
- この事件は、あえて裁判を行わずに交渉で示談しましたが、訴訟をした場合、過失の評価によっては損害額が大きく下がる可能性がありました。
そのため、損害額を緻密に計算して、依頼者に十分に説明することで交渉でも満足のいく示談が出来たと思います
また、災害状況の調査の過程で、会社から適切に給与が支払われていないことも判明ししたため、労災保険金の支給額を上昇させる手続を行い、これにより労災保険の追加給付も受けられたので、依頼者に大きなメリットを与えることができたと思います。
建築現場に荷物を配送中、上空から落下してきた資材袋が激突したという事故で609万円を獲得した事例(裁判から解決まで約1年)
- 事案内容
- 依頼者(52歳、男性)は、配送作業の仕事をしており、注文があった会社に荷物を届けようとしたところ、その会社が建築工事中であったため、現場作業員の指示に従って会社に立ち入りしました。その後、配送作業を終え、会社から出ようとした際に、上空から投げ落とされた資材袋が依頼者の左肩に落下してきました。その結果、左腱板損傷等の傷害を負い、後遺障害等級12級が認定されました。
詳しく見る
- 交渉の経過
- 依頼者は、勤務先を通じて、建設会社に抗議をしましたが、建築会社や資材を投げ落とした作業員から一切謝罪はありませんでした。また、資材袋が落下した首や左肩に傷みが残っている状況でした。そこで、謝罪や正当な補償を求めるべく作業員と建設会社に対する損害賠償請求をご依頼いただくことになりました。
もっとも、損害賠償請求に当たり、依頼者に認定された後遺障害等級を見ると腱板損傷にもかかわらず14級という低い等級に留まっていました。また、認定に当たっては、主治医の意見のみを聞き、労働基準監督署の医師の意見を確認していないことが判りました。そこで、後遺障害等級として12級が認定されるべきであると考え、審査請求をしたところ、12級が認定されるに至りました。
そして、作業員と建設会社に対して損害賠償請求を行いましたが、話し合いにおいては、一切の支払をしないとの意向であったため、やむなく訴訟を提起することになりました。
訴訟においては、主として腱板の部分断裂が加齢やインピンジメントによるものであるのか、それとも本件事故によるものなのかが争点になりました。
会社側は、自身の見解に沿う医師の意見書を提出しましたが、当方が、骨棘が小さい場合には腱内断裂がほとんど生じないことを示す医学文献を提出したり、肩鎖骨節の変形性関節性変化が変性変化としての左肩腱板損傷に基づくものではないことを主張しました。その結果、裁判官から当方の主張が正しいと判断され、事故が原因で腱板の部分断裂が生じたことを前提とする、和解提案がなされました。
そして、609万円の支払いを受けることで裁判上の和解が成立しました。なお、建設会社は、作業員の名前等身分を一切明かさない不誠実な態度であったため、刑事告訴もした事案です。
- 弁護士からのコメント
- 後遺障害が14級と認定されるか、それとも12級と認定されるかで賠償額も大きく変わります。そこで、まずは、適切な後遺障害が認定されているのか調査することが重要です。また、医学的な争点においても、医学的根拠を示しつつ説得的に説明すれば、医師の意見書に対しても十分な反論をすることも可能です。
空間噴射した消毒液で両眼に化学外傷を負った労災事故で約400万円を獲得した事例(ご依頼から解決まで約3年)
- 事案内容
- 被災者(40代、女性)は食品工場での作業中に、同僚が空間噴射した消毒液を両目に浴びてしまい、化学外傷の傷害を受け、最終的に両目に疼痛等の後遺障害が残りました。
詳しく見る
- 交渉の経過
- 受傷直後に依頼を受け、まずは、労災の申請のサポートから始めました。
その後、2年以上の通院加療を経て、症状固定となり、依頼者様の両目に疼痛が残りました。
そこで、後遺障害を申請したところ、労働基準監督署は後遺障害を「非該当」と認定しました。
そのため、今度は労働局に異議申し立てを行い、主治医に意見書を作成してもらうなどの審査請求対応を行いました。
その結果、審査請求で無事に認められ、後遺障害の認定を受けることできました。
また、後遺障害認定後は、相手方会社に対し、損害賠償請求を行いました。
本件の労災事故は、周囲の状況を確認せずに消毒液の空間噴射を行った他の従業員に責任があり、その従業員を雇用していた会社に使用者としての賠償責任が認められる事案でした。
相手方会社との交渉はスムーズに進み、実質的に賠償責任は争われなかったため、交渉開始から約2か月で早期示談に至りました。
- 弁護士からのコメント
- この事件は、労災事故直後に受任したので、通院中から後遺障害申請に至るまで適切なタイミングで打合せとアドバイスを行うことが出来ました。
そのため、後遺障害申請が「非該当」になった際も、事案を熟知していたので焦らずに異議申し立てが出来ました。
また、損害賠償請求の場面でも、労災事故直後から請求根拠の整理が出来ていましたので自信を持って請求することが出来ました。
ご依頼から終結まで約3年と長期間にはなりましが、その分、十分な準備が出来ましたので交渉を開始してからは早期解決が実現できました。