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労災弁護士コラム

労働災害と損益相殺について

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労災事故に遭った被害者が,会社に対して損害賠償を請求する場合に,当該労災事故を理由として既に支払われた金員がある場合には,損害賠償金から控除されるものもあります。このような考え方を法律上は「損益相殺」といいます。

損害賠償は,当該労災事故に被災したことにより被った損害を補うことを求めるものです。したがって,当該労災事故に関して,損害を補う目的で支給された金員については控除されることになります。

具体例としては,

① 会社等加害者から損害金として支払われた金員

② 労災保険金

※ただし,特別支給金を除きます。

③ 会社が加入していた任意保険に基づく保険金

などです。

反対に,控除の対象とならない金員としては,

① 見舞金や香典

② 労災被災者が加入していた生命保険等の保険金や傷害給付金

などです。

控除すべき金員がある場合で,かつ過失相殺をすべき事案の場合,過失相殺をしてから控除するのか,控除してから過失相殺をするのかという問題があります。

この点,会社から損害金として支払われた金員や会社が加入している任意保険から支払われた金員については,過失相殺後に控除することとなります。では,労災保険金はどうかというと,こちらも過失相殺後に控除するという取扱いとなっています(最判平成元年4月11日)。もっとも労災保険金は,各給付項目により金額が決定されており,このことから,控除できる損害項目に制限があります。

労災被害に遭われた方は,当該労災事故によって自身が被った損害がどれほどのものかを正確に把握することが重要です。

この点については,是非弁護士にご相談ください。

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