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労災保険が使えない?「労働者性」の判断基準と対処法
初めに
業務中にケガをしたのに、会社から『社員じゃないから労災は使えない』と言われた。そんな相談は珍しいことではありません。特に、建設業や運送業で働く方は、業務委託か雇用契約かが曖昧なまま働いていることがあります。
しかし、労災保険が適用されるのは「労働者」だけです。労働者でなければ一切補償は受けられません。
では、そもそも「労働者」とは何を基準に判断されるのでしょうか?
「労働者」かどうかは形式ではなく、働き方などの実質によって判断されます。
以下では、労災保険における労働者性の判断基準や注意点を、わかりやすく解説します。
労災保険が適用される「労働者」とは?
労働基準法第9条では、労働者とは「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と定義されています。
契約の形式(雇用契約、請負契約など)にかかわらず、実態として会社の指揮命令に従って働いているかがポイントとなります。
つまり、契約書の名目が「請負」や「業務委託」でも、実際の働き方が会社の管理下にある場合は「労働者」と認められ、労災保険が適用されます。
労働者性の判断ポイント
労働基準監督署は、次の要素をもとに労働者性を判断します。
- ① 指揮命令の有無:勤務時間・場所・内容が細かく指定されているか
- ② 賃金性:働いた時間・日数に応じた報酬が支払われているか
- ③ 代替性:本人以外が業務を代行することができるか
- ④ 道具・制服:会社から支給されているか
- ⑤ 専従性:他社の仕事を自由に受けられるか
- ⑥ 他の従業員との比較:待遇・業務内容が大きく異なるか
これらを総合的に見て、「使用従属性」があるかどうかが判断されます。
よくある誤解と注意点
「請負契約だから労災が使えない」というのは誤解です。
たとえば以下のようなケースでは、「労働者性」が認められる可能性があります。
- 建設現場で一人親方として作業するが、日々会社の指示で動いている
- 配送ドライバーとして働いているが、勤務日・ルート・服装などを元請が指定
- バイク便業務で業務委託契約だが、勤務日・時間を拘束されている
契約名より実際の働き方が重要です。
労働者性が争われた場合の対応
会社が「労働者ではない」と主張し、労災申請を拒否する場合でも、労働基準監督署に申立てを行うことが可能です。
その際には、以下のような証拠が有効です。
- タイムカード・出勤報告・日報など勤務時間の記録
- 業務指示の履歴(メール、LINEなど)
- 給与明細・請求書・振込記録
- 契約書や業務委託契約書の写し
証拠集めや申立てには専門的な知識が必要なため、早めに専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
労災保険の適用には「使用従属性」の有無が最大のポイントです。
名目上は業務委託・請負でも、実態として会社の指示に従って働いている場合には、労働者性が認められる可能性があります。
「本当に労災が使えるのか?」「会社に断られたが納得できない」と悩んでいる方は、ぜひご相談ください。
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